小柳隆郎
職業:総合清掃事業会社最高財務責任者 兼 WEBチーフディレクター
株式会社すかいらーく、株式会社KIREI produce、フリーランスグラフィックデザイナーを経て総合清掃事業会社でのWEB事業を担当。
現在は経営層の一人として加わり、清掃関係コラムを寄稿する事も精力的に行っている。
エアコンは私たちの日常生活に欠かせない家電であり、快適な生活環境を維持するために重要な役割を果たしています。しかし、長期間の使用によってエアコン内部にはホコリやカビが蓄積し、性能が徐々に低下してしまいます。これを防ぐためには、プロによる定期的なクリーニングが必要不可欠です。
目次
エアコンのクリーニング作業を開始する前に、まずはエアコンの全体的な動作状態を確認します。エアコンを通常通りに起動させ、冷暖房機能が正しく作動しているか、また異音がないかをチェックします。冷却や暖房時のエアフローの強さと温度が設定通りであること、リモコンの各ボタンが正確に反応することを確認します。問題がある場合は、それがクリーニングで解決可能かどうかを判断し、問題のある部分を特定しておくことが重要です。
効率的かつ安全にエアコンクリーニングを行うためには、作業スペースの準備が欠かせません。まず、エアコンの周囲にある家具や物を移動またはカバーで覆い、作業中に誤って汚したり傷つけたりするリスクを減らします。次に、エアコン下の床に防水シートや古いタオルを敷き、洗浄中に使用する水や洗剤から床材を保護します。また、必要なクリーニング道具や材料を手の届く範囲に配置し、作業効率を上げるための準備を整えます。
エアコンクリーニングの初期段階で行う状況・不具合の確認は、エアコンの効率と安全性を確保するためにとても重要です。エアコンの全機能を起動し、冷暖房が適切に作動するかを試運転で確かめます。冷気や温風の流れが均一で適切な温度であること、エアコンから異常な音が発生していないことを細かくチェックします。試運転中に異音や冷暖房機能の不具合が見つかった場合は、それが汚れや部品の故障によるものかを判断し、クリーニングや修理で改善可能かどうかを評価します。
エアコンのクリーニングやメンテナンス中の安全を確保するためには、動作確認後に電源を適切に遮断することが重要です。エアコンの全機能が正常に動作することを確認した後、電源ボタンをオフにし、さらに電源コードをコンセントから抜いて、電源が完全に切れている状態を確保します。これにより、クリーニング作業中の誤操作やショートを防ぎ、作業者とエアコン機器自体の安全を守ることができます。
続いて、エアコンの分解と養生です。まず、エアコンのフロントカバーを慎重に取り外し、その後各部品を、後の清掃作業を簡単にするために、適切に取り外します。分解作業後、内部機器や電子機器が損傷しないように、丁寧に養生を行います。特に水や洗剤を使用する場合、テープやプラスチックシートで電子部品をカバーし、水漏れや化学薬品から保護します。
エアコンのフロントカバーを開けて、内部からエアフィルターを取り外します。フィルターはエアコンの効率と空気のクリーンさに直結するため、特に注意深く取り扱い、後で専用の洗浄液または水で丁寧に洗浄する必要があります。この段階ではエアコン内部のクリーニング作業に進む前に、不純物や汚れが再び内部に戻るのを防ぐためにも大事になります。
エアコンクリーニングの効果を最大化するには、パネルやルーバーなど外せるすべての部品を取り外すことが重要です。取り外した各部品は、それぞれが適切に機能を維持できるよう、専用の洗剤を用いて丁寧に洗浄します。部品を取り外すことで、通常は手の届かない内部まで徹底的にクリーニングが可能となり、埃や汚れ、カビが原因で起こり得るパフォーマンスの低下を防ぐことができます。
エアコンクリーニング作業中に水や洗剤が周囲の壁や家具に飛散するのを防ぐために、養生を行います。養生テープやプラスチックシートを使用して、エアコン周辺の壁、床、家具などを丁寧にカバーします。特に、電子機器や水に敏感な素材がある場合は、注意深く養生を行い、洗浄液や水が直接触れないようにします。エアコンの周囲を保護することで、クリーニング中に誤って損傷を与えるリスクを最小限に抑え、安全に作業を進めることができます。
次に本体内部と取り外した部品の掃除が行われます。初めに、エアコン内部に洗剤を均一に噴霧し、堆積したホコリ、カビ、バクテリアなどの汚れを浮き上がらせます。次に、高圧洗浄機を使用してこれらの汚れを強力に洗い流し、エアコン内部を徹底的に清潔にします。さらに、外したフィルターやその他のアクセサリーも同様に専用の洗剤とブラシを使って手洗いし、細部まで汚れを落とします。洗浄後は、すべての部品を水でしっかりとすすぎ、余分な水分をタオルで拭き取って、再組み立ての前に完全に乾燥させます。
エアコンの掃除において、本体内部の汚れやカビを効果的に除去するためには、特殊なクリーニング剤の使用が重要です。この手順では、エアコンの内部コンポーネントに直接、専用のクリーニング剤を均一に噴霧します。このクリーニング剤は、ホコリ、汚れ、カビの胞子を分解し、除去するために特別に設計されています。噴霧する際は、エアコンの隅々まで洗剤が行き渡るようにし、特にカビが生えやすい冷却フィンやドレンパンには注意深く適用します。この洗剤は汚れを浮かせるだけでなく、消臭効果もあり、エアコンからの健康を害する可能性のある微生物の成長も抑制します。適切に洗剤を噴霧することで、次の高圧洗浄の工程で汚れをより効果的に洗い流すことが可能となります。
この工程では、先に噴霧したクリーニング剤が浸透し、汚れやカビを浮かせた後に、高圧洗浄機を用いてエアコン内部を洗浄します。高圧洗浄機は、その強力な水流で洗剤とともに、細かい汚れやホコリ、バクテリア、カビの胞子を根こそぎ洗い流します。特に、エアコンの冷却フィンや送風ファンなど、手が届きにくい部分に効果的です。洗浄が終わったら暖房運転を行い乾燥させます。
パネルやフィルターなどの取り外したパーツを個別に扱い、専用の洗剤を使用して手洗いします。洗浄には、適切なブラシやスポンジを用いて、汚れやカビが積もりやすい隙間や角にも注意深く洗います。洗剤を丁寧にすすぎ落とした後、パーツは完全に乾燥させることが大事です。陰干しして乾燥させます。
最後は外した各パーツを戻していきます。エアコンの機能や安全性を確保するため、部品の組み立ては製造元の指示に従って正しく行います。部品の再装着後、養生で保護されていたエアコンの内外部のテープやカバーを取り除きます。養生材を取り除く際には、壁や床、エアコン本体を傷つけないよう注意深く作業を進めます。
最後に洗浄されたエアコンを再起動し、冷暖房機能が全て正常に作動するかを確認します。エアコンが指定の温度に達するか試し、送風機能が均一に動作するかを確認します。また、エアコンから異常な音が発生していないかも注意深く聞きます。すべてのチェックポイントが問題ないことを確認した後、必要に応じて微調整を行い、エアコンが最適な状態で稼働するようにします。
プロのエアコンクリーニングは、エアコンの性能維持と寿命延長に不可欠です。定期的に専門家によるクリーニングを行うことで、エアコンからの清潔で健康的な空気を保ち、エネルギー効率を最適化します。自分で行う基本的なフィルター掃除も重要ですが、内部の徹底的な洗浄はプロに任せることで、エアコンの寿命を延ばし、最高の状態で快適な室内環境を保つことができるでしょう。