小柳隆郎
職業:総合清掃事業会社最高財務責任者 兼 WEBチーフディレクター
株式会社すかいらーく、株式会社KIREI produce、フリーランスグラフィックデザイナーを経て総合清掃事業会社でのWEB事業を担当。
現在は経営層の一人として加わり、清掃関係コラムを寄稿する事も精力的に行っている。
台所やお風呂の排水溝。長く放置していたわけでもないのに、つまってしまい困っている……という方は、多いことでしょう。この記事では、家の中の排水溝のつまりに悩んでいる方に向け、つまりの解消法や予防法について解説します。費用を掛けず効果的に、自力で簡単にできる方法も紹介しますので、日常のお掃除の参考にしてみてください。
目次
「排水溝のつまり」と一口に言っても、一時的にものがつまって水が流れないだけの状態から、排水管に汚れがこびりついているような状況まで、さまざまです。
目に見える場所のつまりは、汚れを取り除くことで、比較的簡単に改善することができます。
一方で問題なのは、直接確認することができない排水溝の内部に、ゴミや汚れがこびりついているケースです。こうした排水溝の中のつまりは、悪臭の原因になるので注意が特に必要となります。
排水溝に水が流れていても、奥が汚れでつまっている可能性もあるので、チェックしてみてください。
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排水溝のつまりの原因について説明していきましょう。
排水溝のつまりの主な原因は、水と一緒に流してしまった汚れですが、その汚れの種類は場所によって異なります。
排水溝のつまりを改善するためには、どんな汚れがつまりの原因になっていのるか、知ることが必要です。
具体的には、
●キッチン・台所のつまり
●お風呂・浴室・浴槽のつまり
●洗面所・洗面台のつまり
●洗濯機の排水溝のつまり
と、場所によって原因は変わります。
それぞれの場所のつまりの原因について、具体的に解説しましょう。
最初に、キッチン・台所のつまりの原因についてです。
料理作業をするキッチン・台所の場合、固形物がつまりの原因になりがちです。食材のカスのほか、うっかり流してしまった輪ゴムや楊枝、ビニールや包装の断片などがつまり、水が流れなくなってしまうケースがあります。
排水溝にゴミ受けやネットを設置して固形物をキャッチしても、鍋やフライパンなどの調理器具、食器を洗った際に流れた汚れが、ぬめりとなって排水溝にこびりつくこともあります。
さらに、ぬめりが油と結合すると、大きな塊となり、排水溝のつまりの原因になります。
次に、お風呂・浴室・浴槽の排水溝です。
利用する方のヘアースタイルによって差は出ますが、お風呂・浴室・浴槽で、つまりの原因の代表格となるのが髪の毛です。
さらに、ボディソープやシャンプーなどの石けんカス、皮脂や垢なども、排水溝にたまって、つまりを引き起こす要因になります。
排水溝に、髪の毛がたまり、そこに石けんカスや皮脂、垢などの汚れが付着すると、ドロドロとした塊になります。そこから雑菌が繁殖してしまうこともあるので、注意が必要です。
洗面所・洗面台でも、排水溝のつまりは発生します。
髪の毛がつまりの原因になるケースが多いほか、知らないうちにホコリが付着し、排水溝がつまってしまうケースもあります。
ハンドソープや洗顔剤などの石けんカスのほか、歯磨き粉、ヘアワックスなどこびりつき、水が流れにくくなることも。
そのほか、小さなアクセサリーやヘアピン、歯磨き粉や化粧品のキャップなど、固形物を流してしまったことによるトラブルも多くなっています。
排水溝のつまりを直すためには、つまりの状態について、チェックすることも必要です。
つまりの状態ごとに、ポイントをまとめました。
●水が全く流れない
まったく水が流れないときは、第一に、固形物によって完全に排水溝が塞がれている状態が考えられます。特に、急に流れなくなった場合は、落としてしまったり、流してしまったりした固形物がないか、チェックしてみてください。
目立った固形物がない場合は、排水溝の深部で、髪の毛やホコリ、糸くずが溜まったり、ヘドロ状の汚れが付着したりして、排水溝をふさいでいる可能性があります。
●水が流れるのに時間がかかる
完全に水が流れないわけではないけれど、なかなか流れるのに時間がかかる状態でも、排水溝に固形物がつまっているケースがあります。
一方、徐々に水が流れにくくなってきているような排水溝であれば、ほこりや石けんカス、皮脂などの汚れが徐々に排水管にこびりつき、水の流れを悪くしていることが考えられます。
●水が逆流する
水が逆流する場合は、排水溝の奥でつまりが発生している可能性が高くなります。
ただ、排水管が損傷しているケースや、下水道に問題があるケースもあるので、注意が必要です。
排水溝のつまりを自力で直すため、知っておくべき知識について解説します。
まずは、自分で排水溝つまりを治すために、
●あると良い道具
●効果的な洗浄剤・薬剤
について紹介しましょう。
自分で排水溝のつまりを解消しようとする場合、次のような道具があると便利です。
●ラバーカップ
「吸引カップ」「すっぽん」などの名前でも知られるグッズ。トイレのつまりで使用するイメージですが、排水溝のつまりの解消にも使えます。
●ワイヤーブラシ
金属で作られた硬いブラシで、排水溝つまりの原因となる、排水管の中の汚れを落とすのに活躍します。さまざまな種類があり、100均などでも売られているので、排水溝の形などもチェックした上で、購入することをオススメします。
●ペットボトル
空のペットボトルで、排水溝に空気を送り込み、つまりを解消することも可能です。ラバーカップがない場合の代用品になります。
自分で排水溝つまりを解消する際に、ポイントとなるのが洗浄剤・薬剤です。
つまりに効果がある洗浄剤・薬剤は次の通り。
●パイプクリーナー
排水溝にこびりついたヘドロ状の汚れ、髪の毛などに効果があるのがパイプクリーナーです。臭いの除去も期待できます。
液体、粉末、錠剤など、さまざまなタイプのパイプクリーナーがあり、ドラッグストアなどでも購入することができます。
商品を選ぶ際には、「油汚れ」「髪の毛」など、落としたい汚れに有効な成分が入っているかどうかをチェックするのがポイントです。つまりの状態が酷い場合などは、粘度の高い液体のパイプクリーナーを使えば、時間をかけて、しつこい汚れを落とすことができます。
●重曹
弱アルカリ性の重曹は、キッチン・台所の油やぬめり、風呂水から流れた垢など酸性の汚れに効果が期待できます。料理などにも使用される重曹は、安心して使えるのもポイントです。
●クエン酸
クエン酸は、アルカリ性の汚れに効果が期待できます。具体的には、水垢、石けんカスなどに有効。重曹と同様、体に優しい成分なので、安心して使えます。
排水溝のつまりを自力で解消するためには、どのような方法があるのでしょうか。
主な解消法には
●お湯を使ったつまり解消法
●ペットボトルを使ったつまり解消法
●パイプクリーナーや洗浄剤を使ったつまり解消法
●重曹・クエン酸を使ったつまり解消法
●ラバーカップ(すっぽん)を使ったつまり解消法
●ワイヤーブラシを使ったつまり解消法
●固形物を落としてしまった際の取り除き方
の7つがあります。
それぞれ具体的に紹介していきます。
まずは、お湯を使って、キッチン・台所の排水溝つまりを解消する方法です。キッチン・台所のつまりの原因の一つである油は、お湯に溶けやすいので、その性質を利用した解消法となります。
①シンクの排水口にふたをします。ふたが無い場合は、タオルなどを詰めて代用します
②50度~60度のお湯をシンクに貯めます
③ふた、またはタオルを取って、一気にお湯を流し、終了です。
次に、ペットボトルを使ったつまりの解消法についてご紹介しましょう。
基本的に、ラバーカップを使ったつまり解消法と同じ原理ですが、排水溝に高さのあるシンク、排水口が小さい洗面所などでは、ペットボトルの方が使いやすいケースもあります。
キッチン・台所で、トイレに使用したラバーカップは避けたい場合などにも、オススメです。
①空のペットボトルを準備します
②排水口のふた、ゴミ受けなどを外します
③ペットボトルの口を排水口に差し込みます
④ペットボトルの側面を押し、空気を送り込みます
⑤④を10回程度繰り返します
⑥ペットボトルを一気に引き抜いて終了です
パイプクリーナーには、液体タイプ、粉末タイプ、錠剤タイプがありますが、排水管の中に止まり、こびりついた汚れを分解して落とすのが特徴で、台所、浴室、洗面所、洗濯機、いずれの排水溝にも使うことができます。
パイプクリーナーを使って効果的につまりを解消するには、容器の説明などをよく読み、指示に従うことが大切です。
①排水口のふたやゴミ受けを外し、配管が見えるようにします。
②パイプクリーナーを、使用方法で指示されている分量、排水口から入れます。粉末、錠剤の場合は、指示通りの分量の水、またはぬるま湯を注いでください。
③使用方法の指示に従い、一定時間そのまま放置します。放置時間はクリーナーによって違いますが、15分~30分程度のものが多いようです。
④排水口から水を入れ、すすいで終了。長く放置しても、汚れが落ちやすくはなりませんので、すすぎまでの時間は、説明書の通りにするのがベストです
重曹・クエン酸を使ってできる、排水溝のつまり解消法をご紹介します。
パイプクリーナーと比べると、洗浄力は弱めですが、どの排水溝のつまりに対しても有効です。自然由来の優しい素材で安心して掃除をしたい方などにはオススメです。
①排水口からカップ1杯程度の重曹を入れます
②カップ1杯のお湯に、大さじ2杯からカップ半分程度のクエン酸(レモン汁)を投入し、混ぜます
③クエン酸を投入したお湯を、排水口に注ぎます
④30分程度、放置します
⑤排水口から水を注ぎ、すすいで終了です
完全に水が流れなくなってしまった場合や、なかなか水が流れないケースの応急措置では、ラバーカップが有効です。ラバーカップで直接空気を送り込み、その圧力で詰まっている固形物や汚れを取り除くので、即時のつまり解消が期待できます。
ラバーカップも、種類を問わず、どの排水溝でも使えます。ただ、カップの口が排水口にうまく合わない場合などは、うまく空気を送り込めないため、効果が出ないケースもあります。
また、シンク下で、排水管がジャバラになっている場合は、破損する恐れがあるので、ラバーカップを使うことはできません。
①水が飛び散った場合に備え、排水口の付近に、タオルやビニール、新聞紙などを敷きます
②排水口のふたやゴミ受けを外します
③排水口にラバーカップを密着させます
④ゆっくり押します
⑤いっきに引きます
⑥水が流れない場合は、④と⑤を何度か繰り返し、水が流れるようになれば、終了です。
ワイヤーブラシを使い、排水溝のつまりを解消する方法をご紹介します。
金属でできたワイヤーブラシは、針金のように曲げることが可能なため、排水管内の浅い部分にある汚れの削ぎ落としなどに適しています。ただ、硬くて大きいものなどで配管が塞がれているようなケースでは、うまく、つまりを取れないケースもあるので、そうした場合は無理をせず、他の方法を試すようにしましょう。
①排水口のふたやゴミ受けを外します
②排水口にワイヤーブラシを差し込みます
③異物にぶつかったら、削り落とすようにブラシを動かします
④排水口から水を入れ、すすぎます。水の流れがよくなったら、終了です。
最後に、排水溝に固形物を落としてしまった場合の対応です。
排水溝に大切なアクセサリーを落としてしまった……などといったことを経験された方も少なくないでしょう。大切なもので、不要なものでも、排水溝にうっかり物を落としてしまった場合には、適切な対応を取ることが必要です。
固形物を落とした場合の対応と、取り除き方を説明します。
①すぐに水を止めます
②どこに落ちたのか確認します
③素手で取れないときは、粘着テープを巻き付けた割りばし、刺すことが可能な材質であれば錐などで取り出す方法があります
④道具を使っても取れない場合は、排水管を分解します。ただ、排水管の分解には、ドライバーやレンチでねじやナットを外す作業などが必要で、分解や組み立てに自身のない方は、避けるのが無難です。
これまで排水溝のつまりを改善するための道具や方法についてご紹介してきましたが、つまりの原因や状況に合わせた対応策を取っても、つまりを直すことができないケースはあります。
排水溝のつまりがどうしても解消できないときは、放置せず、専門の業者に依頼することをおすすめします。
業者に依頼する最大のメリットは、短時間で確実に、つまりを解消してもらえることです。排水溝のつまりをはじめとする水回りのトラブルについては、早朝や深夜でも即時に対応する業者が多く存在します。連絡したその日に、つまりを直してもらうことも可能なのです。
また、排水溝のつまりは、繰り返し発生することもありますが、一定期間内であれば、無償で対応する業者もいるので安心です。
原因が特定できない排水溝のつまりや、自分では排水管を分解できない場合なども、業者に任せるのがベストでしょう。自己流でつまりを解消しようとしても、より大きなトラブルにつながる恐れもあるので、無理をせず、プロに依頼することをオススメします。
キッチンやお風呂、洗面所を清潔に、快適に使用するには、排水溝のつまりの「予防」も大切です。
日常的に汚れを流さないようにする、または汚れを落とすようにすることで、排水溝のつまりを防止することができます。
例えば、キッチン・台所であれば、フライパンや食器についた油はふき取るなどし、つまりの原因になる油をなるべく流さないようにしましょう。お風呂・浴室・浴槽、洗面所・洗面台は、こまめに髪の毛を拾うようにするのが効果的です。
洗濯機の排水溝は、定期的に洗濯ホースを取り外し、汚れを落とすようにしましょう。
日常の清掃を欠かさないようにすることで、排水溝の水が急にあふれるなどのトラブルや、異臭も防ぐことができるはずです。
排水溝のつまりを解消する方法についてご紹介しました。
排水溝のつまりは、場所によって原因が異なり、つまりを直すための方法も変わります。つまりの状況に応じ、適切な道具やクリーナーを選ぶことできれば、効果的に排水溝の汚れを落とすことができます。ぜひ記事を参考に、つまりのある排水溝をチェックし、水回りの清潔を保つようにしてみてください。
また、適切な対策をするためには、つまりやにおいの原因を特定することが大切です。原因がわからない場合は、プロに相談してみてはいかがでしょうか。
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